経営お役立ちコラム
2025.09.19 【SDGs】
中小企業と公正な事業
-自主的取組事項と具体的取組事例-
1 はじめに
事業の公正性が社会的に要請されていることは別の記事でご説明したとおりですが、事業の公正性を実現することによって、組織を成長させ、イノベーションを生み出し、ひいては企業の持続可能性を確保することが可能となります。公正な事業の実現は企業の存続のために必須ではありますが、そのためには法令を遵守するばかりではなく、自主的な取り組みも重要となります。
以下では、公正な事業に関する自主的取組事項及び具体的取組事例の一例をそれぞれご紹介いたします。
2 自主的取組事項について
本記事では、企業広告に関する自主的取組事項を取り上げたいと思います。
SNSの発達によって情報伝播の加速、また広告宣伝による影響力の増大などが認められますが、表現内容に公正さを欠いてしまうと逆に対外的な信頼を失い、ブランド価値の低下を招く危険性も内包しています。企業のSNS等が炎上している事態を見聞きすることがあると思いますが、景品表示法や薬機法など広告に関する法令を遵守するだけで、その危険性を回避できるわけではありません。
受け止め方によっては人種差別、女性差別、障がい者差別、LGBTへの配慮を欠いた表現と評価されてしまう可能性があることを十分に認識し、自社の広告活動が、他の個人や企業を誹謗中傷したり、差別する内容となってはいないか、あるいはそのように受け止められる可能性のある表現等が用いられていないかについて、常に目配りする必要があるでしょう。そのため、SNSやホームページなどをも含めた情報発信について、社内に規程や委員会を設置したり、専門家にアドバイスを求めるなどして差別や誹謗中傷のない企業広告となるよう努めている例も少なくありません。
3 具体的取組事例について
公正な事業を実現するために、コンプライアンス教育の実施や充実化をしている企業が多いと思います。
それに加えて、ある企業では、専任のサステナビリティ推進者を置いて、ESG・SDGsに関する社員向けレクチャー、自社のバリューチェーンとSDGsの関係性のマッピング(ポジティブインパクトとネガティブインパクトの両側面からの分析)等を行い、新製品開発等に取り組むためのイノベーションのヒントとしてSDGsを活用する例もあります。
4 終わりに
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